心のとびら

先生から伝えたい言葉

生徒の皆さんの心に留めておいて欲しいことを先生が交代で話をします。

日本にとって大事なサッカーワールドカップの初戦が、約12時間後に迫っていますね。実際に自分で経験してみて、けた違いのスタミナが必要だと思った競技の1つ、それがサッカーです。ワールドカップで、私が真っ先に思い浮かべるのは、98年、2002年、2006年と三大会連続で活躍した中田英寿、愛称はヒデ、というアスリートです。彼に対する世間の評価は現在でも様々ですが、私が心から尊敬するのは、彼の驚くべきスタミナと、試合中は常に背筋を伸ばし、美しく逞しく走り続け、激しいボディコンタクトを受けても滅多に倒れずに、ボールを失わない姿と精神力でした。テレビ中継で遠くから見ていても、どんなに広いピッチにいても、多くの選手に埋もれていても、すぐに「あッ!あそこに、ヒデがいるぞ」とすぐに分かるほどの逞しさと美しさに、今でも憧れを抱いています。聖和で仕事をしていて、市中体や高総体、授業や掃除時間、部活動、学校行事など、365日、私は第2、第3のヒデと出会える瞬間を、実は、密かに楽しみにしてきました。成功しても失敗しても背筋をスっと伸ばし、次の演技に向かうため、美しく歩いていた体操選手のあなた、綺麗なワンストップ挨拶をしてくれたあなた、黙々と一定のリズムで箒を動かしていたあなた、眠気と戦いながら必死に授業を受けているあなた、講堂での学年集会で、敢えて背もたれに寄りかからずジッと人の話に耳を傾けていたあなた。これまでも、また今年に入ってからも素晴らしい生徒と出会うことができました。経験上、こういう生徒は部活動でも良い結果を残し、進学でもほぼ目標に近い合格を手にしています。その事実が本当に喜ばしい。

当時の、そして現在も含めた日本サッカーのレベルにおいて、間違いなくヒデのメンタルやテクニックは頭2つも3つも抜けている存在でした。したがって、彼が監督やチームメイト、日本のメディアに対して行なった発言や要求が、時に理解されなかったり、存在自体が浮いてしまったりすることもありました。それでも、彼は出場したゲームでは誰よりも長く走り、誰よりも大きな声を出し、誰よりも身体をはってサッカーの奥深さを伝えてくれました。さて、何をするにも、始めるにも、上達するにも、先ず必要とされるのは正しいフォーム、その時々の、いわゆるTPOで求められ理想とされている、正しい『型』を身につけることでしょう。正しい『型』を継続し、維持するためには、体力と精神力も必要ですよね。きついと思います。しかし、それを乗り越え、習慣となって自然と『型』を示している時、あなたは周りを感動させているでしょうし、誇りと自信を手に入れているのではないでしょうか。正しい『型』や、とるべき態度は、自分で一生懸命考えて身につけることもできます。また、部活動顧問の先生方、授業を担当する先生方、時には先輩、保護者や地域の大人たちが必死に、厳しく伝えてくれているでしょう。『No Beauty , No Life』。ぜひ、あなたは美しい聖和生になってください。