心のとびら

先生から伝えたい言葉

生徒の皆さんの心に留めておいて欲しいことを先生が交代で話をします。

おはようございます。 1E副担任、数学科のYです。

今日は、なぜ私が数学の先生になったのかについて話したいと思います。

今から4年前、33歳の時に、高校卒業して15年ということで、高校3年生のクラスで同窓会を開催しました。クラスの半数の20人ほどと、当時の担任の先生が集まってくれました。

学校の先生になっている人もいれば、車屋さん、お寿司やさん、自衛隊員に専業主婦・・・など、みんなそれぞれ大人に成長していました。

「おまえ、なんの仕事しよると?」と聞かれた私は、〇〇〇で働いているよと答えながら、こんな風にがんばっているよと胸を張って言えていない自分がいることに気付きました。勉強も部活も遊びも一生懸命に頑張っていた高校時代を共に過ごしていた仲間と再会したことで、今の私はあの時のように一生懸命になれているのかなと考え始めるようになりました。

仕事にやりがいを見つけるというのは、実はすごく難しいことです。とにかくお金をたくさん稼ぎたいという人もいれば、好きなことをして生きていきたいと思う人もいるでしょう。想像していた仕事が、現実には思っていたことと違ったというのもよくあることです。

当時の私は、好きな仕事だったけれど、満足感を得られていませんでした。生まれ変わっても、またその仕事に就きたいかと聞かれたとき、YESと答えられないなと思いました。このままでは自分が死ぬとき、私の人生なんだったんだろうって後悔するような気がしたのです。一度しかない自分の人生を、もっと一生懸命生きたいと思いました。

じゃあ、何の仕事をしようかと考えたとき、自分の人生に一番影響を与えてくれた人を考えてみることにしました。そこには、ひとりひとりの生徒と向き合い、厳しかったけれど愛情深く育ててくれた担任の先生の姿がありました。その先生に出会ったことで私の人生は変わったと思います。できなかったことができるようになることの喜びを教えてくれた。だから私も誰かにとってそんな存在になれたらいいなと思いました。

ただ、なりたいと思ったからと言ってそう簡単に先生になれるわけではありません。数学の先生になるための免許を持っていなかったからです。15年ぶりに始めた勉強は、想像していたよりもずっと苦しいものとなり、寝ても覚めても公式にうなされて、解けない問題に泣きたくなることもありました。生活があるので仕事を辞めるわけにはいかず、さらには家のことと子育てだけでも精一杯なのに、なんでわざわざこんなに苦しいことをやっているんだろうと、後悔することすらありました。でも、目標に向かって毎日を過ごすことで、モノクロだった人生が色づき始めたことを感じるようになりました。

そんなこんなで始まった私の教員人生も、そろそろ一年が経とうとしています。10分だった通勤時間が2時間になり、休みも給料も減ってしまいましたが、それでも今とても幸せです。「数学ほんと嫌いだったけど、先生のおかげで楽しくなったよ」って言ってくれる生徒がひとりでもいてくれたらいいな、そう思いながら毎日授業をしています。

中高生のみなさんにはまだピンとこないかもしれませんが、たまには立ち止まって、「自分の人生を精一杯生きているか」見つめ直してみてください。

今朝はこれで終わります。