心のとびら

先生から伝えたい言葉

生徒の皆さんの心に留めておいて欲しいことを先生が交代で話をします。

 おはようございます
今朝は、詩を一編 ご紹介します。

虹の足     吉野 弘

雨があがって
雲間から
乾麺みたいに真直な
陽射しがたくさん地上に刺さり
行手に榛名山が見えたころ
山路を登るバスの中で見たのだ、虹の足を。
眼下にひろがる田圃の上に
虹がそっと足を下ろしたのを!
野面にすらりと足を置いて
虹のアーチが軽やかに
すっくと空に立ったのを!
その虹の足の底に
小さな村といくつかの家が
すっぽり抱かれて染められていたのだ。
それなのに
家から飛び出して虹の足にさわろうとする人影は見えない。
── おーい、君の家が虹の中にあるぞオ
乗客たちは頬を火照らせ
野面に立った虹の足に見とれた。
多分、あれはバスの中の僕らには見えて
村の人々には見えないのだ。
そんなこともあるのだろう
他人には見えて
自分には見えない幸福の中で
格別驚きもせず
幸福に生きていることが──。

私たちは普段、当たり前のように過ごしています。
皆さんにとって、幸せだと思う時は、どのような時でしょうか。
日々の中には、楽しい日もあればつらい日もあるでしょう。
しかし、この詩にもあるように、
私たちは「他人には見えて 自分には見えない幸福の中で」
「幸福に生きている」のです。
今という時を大切にして、「当たり前のこと」は幸せなことだと心にと
めて、毎日を過ごしたいですね。

…今朝はこれで終わります。