タイからの留学生Parnnapas Buanuchさん(ニックネームはパーン)が、6月27日(金)、全校生徒の前で帰国のあいさつをしました。 パーンさんは昨年8月の2学期より、当時の1年Dクラスに入り、1年間日本語や日本文化を勉強してきました。パーンさんが一緒に過ごしたDクラスはメンバーが11名と小さなクラスでしたが、その分クラス全体が仲良く、パーンさんも1年間楽しくすごすことができました。 パーンさんは、通常授業と日本語のほかに、1年間華道や茶道、日舞を学びました。また、桜の聖母幼稚園での園児たちやホストファミリー、友達との交流を通して、日本のことをたくさん学んでくれたようです。 帰国あいさつでは、日本語で感謝の言葉を述べたあと、日本で学んだことについてのスピーチを発表し、もう一人の留学生チャチャさんと一緒に「長崎ぶらぶら節」を披露してくれました。 『あいさつの プレゼント』パーンナパッ ブアヌ 「おはよう!」 ある日、学校に行く途中の道で、知らないおばあさんが話しかけてきました。 みなさんなら、きっと とまどうことなく、笑顔で「おはようございます」と返すでしょう。しかし、私はちがいました。心の底から、びっくりしました。「この人はなぜ私のことを知っているのだろう?」 タイでは、知らない人に 声をかけることは、あまりありません。同じ学校の人や、近所の人など、顔を見たことがある人ならいいのですが、まったく知らない人と道ばたで話すことには、ためらいを感じます。 そのときは、日本に来たばかりだったので、私は本当にびっくりしました。 「もしかしたら、このおばあさんは、ホストファミリーの親戚のかもしれない」と思いました。しかし、そのあと、また別のおじいさんに声をかけられたので、やっと、これが日本の習慣だと気づいたのです。 私は日本に来る前に、日本人は 優しい民族だと聞いていました。しかし、知らない人にまで 優しいとは思っていませんでした。 そのときは、まだ簡単な日本語しか話せなかったし、緊張すると、さらにうまく話せなくなるので、人見知りの私にとっては、知らない人と言葉をかわすことは、まさに試練でした。 笑顔で話しかけてくれることは、嬉しいことなので、できるだけ緊張しないで話せるように、今でも努力しているところです。 なぜ、日本では知らない人にも あいさつをするのでしょうか。 ひとつの理由としては、日本が安全な国だということがあると思います。タイでは、貧しい人をよそおってお金をだましとろうとする人がとても多いので、知らない人にはかかわらないようにします。いっぽう、日本は比較的に豊かで、危険も少ないので、知らない人と話すことに、あまりためらいがないのだと思います。 また、日本人があいさつを本当に大事にしているという点もあげられます。 私は週に一回、幼稚園に行くのですが、みんなのあいさつは本当にかわいくて、聞いていて元気が出ます。 気持ちの良いあいさつをもらうと、こちらも元気になって、自然に笑顔になります。 毎日のあいさつはお互いに元気であることを確かめ、相手が良い時間を過ごせるようにはげましあう役割もかねていると思います。 日本の人は、この心あたたまるやり取りを、自然体でおこなっています。しかも、それは知り合いではない人にも向けられるのです。何の計算もなく、このようなやり取りができるところに、「日本人は優しい」といわれる理由があるのではないでしょうか。 そして、日本人がつながりを大事にしているということも 大きい理由だと思います。 知らないおばあさんから声をかけられて、衝撃を受けたあのときから、はやくも一年がたちました。今では、すれちがう人に、自分からあいさつできるようになりました。 試練をのりこえられたのは、学校に行く途中でいつも会うおじいさんが、毎日のように「今日はどこ行くとね?」と声をかけてくれたおかげです。いつも変わらない笑顔で、明るく話しかけてくれたことで、少しずつ、自分の心のハードルが消えていきました。おじいさんの笑顔は、あいさつがただの習慣ではなく、気持ちの交流だということを教えてくれたように思います。 私は1年の留学期間を終えて、これからタイに帰りますが、帰ってからも、まずは近所の人にむけて、あいさつするようにしてみようと思います。日本で学んだことをとおして、自分からすこしずつ、思いやりの輪を広げていきたいです。 1年間でとても日本語が上手になったパーンさん。 タイに帰っても、がんばってほしいですね。