心のとびら

先生から伝えたい言葉

生徒の皆さんの心に留めておいて欲しいことを先生が交代で話をします。

『資本論』、知っていますか。マルクスが途中まで書き、彼の死後、エンゲルスが書きつないだ『資本論』です。

私自身も読み通しているとはとても言い難いですが、読み返してみて感心したことがあります。それは、十九世紀初頭のイギリスの資本家やアメリカの奴隷商人たちの動きを細かく追いながら人間の欲望、とくにお金を儲けたいという欲望について証明している事でした。マルクスが言うには、人というのはお金を集め始めると必ず不必要なお金まで持ちたがる。物神礼拝でお金という金色の神さまにぬかづいてしまう。さらに人間は貨幣を資本という形にし、つまり、何もしなくても資本がどんどん大きくなるしくみを考えた。そのために資本主義の市場を作り出したが、それはさらなる貪欲とセットとなっていった。金のメダルの裏側に、マルクスがヨハネ黙示録を引用して言った、「悪魔の刻印」が押されていた。今、日本人がこの金メダルを大切にする人が増えてきた気がします。

前に紹介した新約聖書のエピソード、悪魔に憑かれた豚の群れが突然走りだし、湖へと落ちて行くような行動を、人間は聖書の時代からあらゆる国で繰り返してきたのだと思います。悪魔のささやきが私たちのまわりを舞っているのです。では、どうしたらそれを避けることができるのか。一つには前にも述べましたが、自分の目、身の回りにだけ関心をとどめず視界を三百六十度に広げ、出来るだけ遠くまで見晴るかすことが必要ではないでしょうか。