心のとびら

先生から伝えたい言葉

生徒の皆さんの心に留めておいて欲しいことを先生が交代で話をします。

みなさん、おはようございます。高校2年生副担任・社会科を担当しています。
聖和に来て、早くも8カ月目に入ろうしているにも関わらず、皆さんに教えてもらうことが多い毎日です。教員という職についてから、自分の学生時代について、思い出すことがあります。私は大学4年生の夏まで、教員になるとは全く思っておらず、ただただ自分興味のある国際政治や開発援助、外交分野の勉強に没頭していました。大学はともかく、高校時代は勉強もせず、はやく卒業したい、と思っていた私が教員になり、今までの人生のほとんどを学校ですごしているんだなあ、と思うと不思議です。
私は学生時代、演劇部に所属し、照明という裏方の作業に魅了され、大学時代もひきつづきサークルやアルバイトで舞台に関わりました。
その中で、1つ思ったことがあります。歴史には、光と影があるように感じます。皆さんが教科書で学習する歴史上の人物のほとんどは名を残し、名誉高く、人々から尊敬される人物ではないでしょうか。あのヒトラーさえも、当時のドイツ人にとっては光でした。しかし、光に当てられた人物の裏には、その何倍もの影があります。影が濃ければ濃いほど、光の存在感が浮き立つのです。
私は、自分自身が歴史を勉強する中でも影の役割を実感することが多々ありました。決して表舞台には出ずとも、水面下で走り回り、少しでも事態を改善しようとしている人はたくさんいます。教科書には出てこないかもしれませんが、名もない普通の人々について考えてみるのも面白いかもしれません。

最後になりましたが、ある面接試験で、このようなことを言われました。私の経歴についての質問のあとに言われた言葉です。「貴女は、演劇部でも裏方、歴史も裏での外交や交渉などに興味があったんですね。ではなぜ、教員という表舞台の仕事を選んだのですか?」私はまさかそのような質問をされるとは思わず、一瞬頭が真っ白になりました。その時のとっさの一言は、「私にとって教員の仕事は裏方です」というものでした。とっさに考えたものの、それまでの私は教員の仕事を表とは考えていませんでした。
皆さんはよく耳にすると思いますが、世の光です。まだまだ教員としては未熟な私ですが、皆さん一人ひとりが輝くように、一生懸命サポートしていこうと思います。