心のとびら

先生から伝えたい言葉

生徒の皆さんの心に留めておいて欲しいことを先生が交代で話をします。

「うまいでがんす!」これは佐世保で私の父親と一緒に食事をする際、彼がよく使う言葉です。最初のうちは「何言うとんじゃこの親父は?!いちいち鬱陶しいのう…わしに構って欲しいんかね?」と思ったりもしていたのですが、聞けばこの「~がんす」という言葉、私のふるさと、広島の県北と呼ばれる地域で昔は盛んに使われていたれっきとしたお国言葉。約20年間広島で生まれ育った私も初めて父の口から聞いて知り、もちろん関東生まれ関東育ちの父も耳にしたのはごく最近、気に入って使い始めたのです。
きっかけとなったのは『元就』。毎週日曜お昼の1時間、地域の魅力を再発見するというコンセプトのもと、広島を中心に放送されているローカル番組です。番組のレギュラーはこれまた広島出身のお笑い芸人、アンガールズの2人。毎回、侍の格好をして色んな街を訪ね歩きます。ロケの最中、美味しいものを食べると「うまいでがんす」の決め台詞が田中さんの口からこぼれます。
田中さんのアイディアなのか、番組制作者の配慮なのか、敢えて消えてゆきそうだった「~がんす」を再登場させたセンスに私は『粋』を感じました。今では山間部、都市部を問わず、広島の子どもたちの間で「~がんす」が流行しているそうです。
推測にすぎませんが、広島で30年以上仕事をしながら、普段は好んで広島のお国言葉を使わない父が、わざわざ「がんす、がんす」と言ってくれるのは、なかなか広島に戻れない私を気遣ってのことなのかな、と思うようにしています。ちなみに、父が私を叱咤激励する時には、去年から「がんばらんば!!」と言われ続けています。