心のとびら

先生から伝えたい言葉

生徒の皆さんの心に留めておいて欲しいことを先生が交代で話をします。

高校3年生と中学3年生にとってはあと10日ほどで卒業式を迎えます。
私は、前々校長のシスターが卒業式の式辞で次のように仰ったのが今でもとても印象に残っています。「世界の平和を望むのならば、まずはあなた方の足もとからそれを実現してください。」と言われた言葉です。
世界平和というときに、私たちはついつい遠い紛争地域の平和のことを考えてしまいがちです。ではあなたの身近なところにその戦争の種はありませんか?とシスターは問われました。あなた方の家庭ではどうでしょうか?お父さんやお母さん、おじいちゃん・おばあちゃん、お姉さんや妹・弟などの兄弟と仲良く過ごしていますか?クラスのお友達とはいかがですか?誰かの悪口を言ったり、仲間はずれの友人はいませんか?いつも一人で寂しそうにしているクラスメートを、見て見ぬふりをしていませんか?人が傷つくような言葉を簡単に口にしていませんか?
遠い遠い国々で起こっている悲惨な戦争も、最初は小さなもめ事からのスタートだったのかも知れません。自分がもし身近な人たちとの心の交流ができていないとすれば、シスターが教えてくださったように、決して世界の平和を願っていると言うには、まだまだその資格が足りないのかも知れません。こういう私も、身近な人たちに心を開いて、相手の立場に立って誰とでも仲良くふるまう行動ができいるのかと問われれば、残念ながらまだまだ十分には実行できていません。
本校教育理念の柱である“隣人愛の精神‘’は、口で言うのは簡単ですが、実行するのは本当に難しいことだと思います。自分に冷たい人、自分にとって都合の悪い人、自分の陰口を言う人、周囲には実にいろんな人がいます。自分に限らず、自分の家族や自分の大切な人が辛い思いをさせられたり、悲しんだり悔しい思いをさせられたり、ましてや命を奪われたりしたら、その相手を憎む気持ちを抑え、相手の罪を許すということは、本当に難しいことだと思います。
学校では「相手の人たちを、その人たちの立場に立って、自分と同じように愛しなさい。自分がされて嫌なことは、人にしてはいけません。」と隣人愛の意味を教えています。
おそらく多くの皆さんも頭の中ではわかっているはずです。そしてそれをいつも実行できているという人もたくさんいると思います。そんな人は本当に偉いなぁ、と心から尊敬します。私はまだまだ修行が足りません。
そこで、卒業生への私の最後のメッセージとして、本校の校訓をもう一度意味をかみしめながら、ここであらためて紹介し今朝の話を終わります。
「苦しむ人と共に苦しみ、喜ぶ人と共に喜べるよう、キリストの愛の心で人々に接しよう」
今朝はこれで終わります。