心のとびら

先生から伝えたい言葉

生徒の皆さんの心に留めておいて欲しいことを先生が交代で話をします。

雨にも負けず 風にも負けず

岩手県花巻出身の詩人、童話作家でもある宮沢賢治の死後、彼のカバンに入っていた手帳から発見された詩の一節です。詩のモデルとなった人物は、賢治とも交流があった斎藤宗次郎という、キリスト教の信者であったらしい、ということを最近知りました。斎藤さんの生き様を知り、この詩はより深い感動を私に与えてくれました。試験が終わったら皆さんも是非調べてみてください。

 

体感温度は35℃にも達するという暑さの中で、なでしこジャパンが見事準決勝に進出しました。

「確かに暑かったですが、湿気の高い日本の暑さに比べれば苦ではなかった」と、インタビューに答える選手の言葉を耳にして『雨にも負けず』の詩が脳裏をよぎりました。ハーフタイムに入った直後に、ぐったりとピッチを歩くオーストラリア選手を尻目に、小走りでロッカールームへ向かうなでしこたち、ゴールを決めた直後も、無駄な体力を使っていそうだなぁと余計な心配をしてしまうぐらい、喜びを爆発させる姿に底知れない強さを感じました。

普段から日本で暮らしている人は春夏秋冬を知っている。自然の恵みや優しさ、穏やかさや美しさ、豊かさを知っている。時折牙をむく自然の凶暴性や理不尽な仕打ちも知っている。季節の移ろいが緩やかな時も、ガラッと変わることも知っている。何気なく暮らしている私たちの日常は、実は他の国や地域に暮らす人たちにとっては、とてつもなく羨ましいものであり、恐ろしいものでもあります。

変化することが日常の日本で暮らしてきた人々は、微妙な変化も見逃さず楽しみ、文化や芸術にまで取り込み、僅かな変化で危険や困難さを悟り、解決のための知恵をつけたり習慣を生み出してきました。急激な変化にもへこたれず、乗り越え、真剣に向き合ってきた歴史が、暑さや寒さが続く無変化の環境にも対応できる強い心と身体をつくることにつながりました。

「雪にも夏の暑さにも負けぬ 丈夫な体を持ち 欲はなく 決して怒らず いつも静かに笑っている」

先日、うだるような暑さでも集中力を切らさず、他校の選手に挑み、一心不乱にボールを追っていたテニス部の生徒、遅くなりましたが、中体連・高総体に全力を出し切った選手の皆さん、声を振り絞って応援した皆さん、日本のDNAをしっかり受け継いでくれていましたね。お疲れ様でした。明日からの試験もがんばってください。大きな上向きの変化を期待しています。今朝はこれで終わります。