心のとびら

先生から伝えたい言葉

生徒の皆さんの心に留めておいて欲しいことを先生が交代で話をします。

高校2年A組担任、家庭科の担当者です。

 先日、南阿蘇に住む兄の家に行ってきました。
熊本地震から2か月がたち、余震もだいぶ少なくなり、やっと電気、水道、ガスがきて、少しは落ち着いたのかと思っていましたが、現実は厳しいものでした。

兄は南阿蘇でペンション(=洋風の民宿)をしています。

幸い、建物はコンクリートのしっかりした土台であったため、倒壊はまぬがれたものの、自分で建てた小屋は全壊し、外壁は数か所はがれ、内部もすべての客室の壁にひびが入ったり、床にすき間ができていました。あらゆる家具は倒れ、食堂やキッチンでも、ものが倒れたり壊れたりして、床はガラスだらけで歩けなかったそうです。お客様に出していたグラスや食器もほとんどわれてしまいました。
  ペンションの再営業は、非常に厳しい状況です。 兄は「人生が狂ってしまった。」と言っていました。


南阿蘇地区では、あちこちの山が大きく崩れ、土砂による被害が多かったのですが、特に山崩れの規模が大きかったのは、阿蘇大橋で、橋も道路も線路も土砂で流され、跡形もなく、なくなっていました。 すぐ横の東海大学農学部の阿蘇キャンパス周辺は、学生のアパートがたくさん建ち並び、古いアパートはそのほとんどが倒壊したままの状況でした。大学は授業再開のめどが立たず、熊本市内に校舎を移すとのこと。やはり活断層に沿った地域の被害が大きく、古い家やお墓、道路、山すべて崩れたままでした。そして、今は豪雨にみまわれ、さらなる被害が広がりつつあります。 まだまだ復興には、長い時間と膨大な費用がかかります。


私たちは、あたり前に学校に来て、学校生活を送り、帰る場所があって、食事もでき、風呂にも入れ、ゆっくり寝ることもできる。 毎日繰り返されるこの何気ないあたり前の生活は、あたり前ではないのです。 自分に与えられた状況に感謝し、今も不自由な生活を送ってらっしゃる方々のために、何か自分にできること探していきたいものです。