心のとびら

先生から伝えたい言葉

生徒の皆さんの心に留めておいて欲しいことを先生が交代で話をします。

「昔の善く戦う者は、先ず勝つべからざるを為して、以て敵の勝つべきを待つ。 勝つべからざるは己に在るも、勝つべきは敵にあり。」
 これは、勝つためにまずやらなければいけないことは、「負けないため」の準備だという意味です。 昔から戦いが上手な人は、すぐに相手を責めるのではなく、負けないための準備をしっかり整えて、勝つチャンスをじっくり待っていたと伝えています。

 この言葉は『孫子』という書物に書かれている言葉です。 孫子は、今から2500年ほど前に中国で生まれた書物です。このころの中国は、春秋戦国時代と呼ばれ、いろいろな国がひしめき合って、戦争が繰り返されていました。 孫子を書いた孫武という人は、そうした国の1つである呉の軍師で、戦いに関して優れた才能をもっていたと伝えられています。
このころの戦争は勝つか負けるかは、偶然や運によるものが大きいと信じられていました。国としてどう戦うかというより、兵士個人がどれだけ勇敢かが重要とされていました。しかし、戦争が長引くにつれて、兵士の数も増えてくると、共通の考え方や戦い方が必要になってきました。
『孫子』はこうした時代を背景にして生まれた書物で、しっかりとした考え方や戦い方によって勝つことが大切だと説いたものです。
『孫子』は国を越え、時代を越えて、たくさんの人に読まれています。 現代でも、マイクロソフトの創業者ビルゲイツや、ソフトバンクグループの代表者、孫正義さんも孫子を愛読書にしていたといわれています。
孫子には、困難に立ち向かったり、大きな決断をしたりするときに、どのような行動をすべきかのヒントがつまっています。 最初に紹介した言葉を現代に置き換えて考えてみると、 まずは、自分にできることをきちんとして、そのうえで、相手に立ち向かう。 つまり、テストでいい点数をとりたい、試合で勝ちたいと思うのなら、相手や周りを気にせず、まずは自分ができることをしっかりすることが大切ということを説いています。
みなさんも、毎日の授業や課題、部活動の練習にしっかり取り組み、勝つためのチャンスを広げてみませんか?