心のとびら

先生から伝えたい言葉

生徒の皆さんの心に留めておいて欲しいことを先生が交代で話をします。

 おはようございます。宗教科担当のNです。
 皆さんは、今日が聖和にとってどのような日か、もちろんご存知ですよね?
 ルカによる福音書に記される「善きサマリア人のたとえ話」は、現在の私たちにも通じるたとえ話です。「隣人を自分のように愛しなさい」という律法の教えについて、イエスとの会話の中で律法の専門家は「では、私の隣人とは誰ですか?」という問いかけをします。もしかしたら、彼は「隣人になる人」と「ならない人」という明確な区別をしたかったのかもしれません。しかし、イエスが語ったこのたとえ話は、追いはぎに襲われた一人の人を助けたのが、「汚れている」と嫌われていたサマリア人だったというものです。どんなに律法の教えを理解し、守っている人でも、「隣人を自分のように愛する」ということが必ずしもできるわけではないことを教えています。サマリア人は自分が周りからどう見られているのか、どう思われているのか、そんなことは関係なく、ただ目の前で起きている状況で自分ができることを行いました。
 今から64年前の今日、善きサマリア人修道会のシスター方は、戦争中、オーストラリアと敵対した国にも関わらず来日し、広島・長崎の原爆による惨状を目の当たりにしました。学校建設という目的はありましたが、まずは目の前で苦しむ人々を救うために尽力したというのは、皆さんにお配りしている『ぶどうの木の下で』にも記されています。

 どうか今日一日、来日されたシスター方を思いながら過ごしてください。聖和で学ぶ皆さんが、目の前で苦しむ人がどのような人であろうと、自分ができる限りの救いの手を差し伸べ、シスター方が聖和という名に思いを込めた「平和を創る女性」として育っていくことをお祈りして、今朝の話を終わります。